ハッピーバースデー 陸 〜その2〜

おっ!?


この画面を見ているってコトは、メッセージをくれたんだな。

サンキュー!

ま、くれてない子も、オレを喜ばすためにボタンを押してくれたってコトで・・・

やっぱり、サンキュー!!


イヤ・・・

オレもね、まさか結衣がそんなことするとは思ってなかったよ?

いや、マジで。

え? そう言うワリに、かなり落ち込んでたろうって?


・・・・・


な、なに言ってんだよっ!?

あれは、管理人の画力不足のせーで、そー見えただけだっつーのッ!!

勘違いすんなよっ?

・・・大体、そんな演出なくても、オレらはすぐラブラブになれんだから・・・




「ごちそーさま。 スゲーうまかったよ」

「良かった」



さて、前菜(ケーキ)も食い終わったし、そろそろメインディッシュをいただくとするか・・・



「ちょっ!? 陸、何するのっ!?」

「何って・・・・・・ ナニ?」



結衣を抱きしめながら、腰の辺りをなでてみる。



「ダ、ダメだよっ! お皿とか、片付けなくっちゃ・・・ッ!!」

「そんなん、あとでいーじゃん・・・」

「よ、良くないッ!」

「いいって。 置いときゃ、オフクロが帰ってきたときに洗うよ」

「そんなの、余計にダメッ!! とにかく片付けさせてッ!!」



いつも以上に抵抗する結衣。

・・・仕方ない。



「・・・・・んじゃ、ちゃちゃっと・・・ね?」

「うん。 ・・・あ、お皿洗ってる間、絶対覗かないでねっ!?」



また、鶴発言。



「なんで?」

「なんでもっ!! とにかくこっち来ないでっ!!」



なんなんだ? ホントに・・・

ここで食い下がっても、お楽しみの時間が遅くなるだけだから、とりあえず肯く。

またテレビをつけて、テキトーにザッピングした。

ナイナイが学生服を着てコントをやっている。


・・・そうだ。 イイコト思い付いた。


もし、結衣がOKしてくれたら・・・

アレ着てもらおうかな・・・ 学ラン。

前に1回断られてる(つか、そう頼んだら怒られた)けど、



「今日、オレの誕生日だよ? お願いっ!!」



って頼んだら、もしかして肯いてくれっかも・・・・・

そう言えば、中学んときの学ラン、どこにしまってあんだろ?

卒業以来見てねーし、探すのに時間かかっかも・・・

結衣が皿洗ってるスキに、探しとくか・・・



「結衣?」

「なっ、なにっ!? こっち来ないでよっ!?」



スゲー勢いで警戒している結衣。

・・・ホントになんだろ?

ま、いいか。

そんなことより、今は学ランを探す方が先だ。



「あのさ、オレちょっと探し物すっから、部屋行ってんね?」

「え? ・・・うんっ!いいよいいよっ! ゆっくり探してきて!!」



そそくさと自分の部屋に戻る。

クローゼットを探りながら・・・ 顔がニヤけてくるオレ。





って・・・

スゲーいい―――っ!!


はやる気持ちを抑えながら、でも光速で学ランを探す。

・・・けれど、いくら探しても目当ての物が出てこない。


もしかして、母親の部屋か・・・?


そう思って母親の部屋を探ってみても・・・ やっぱり出てこない。

どこしまったんだよっ!?

半ギレになりながら、41歳バツイチ女に電話。



『はぁ? 学ラン? ・・・そんなもの、何するのよ?』

「なんだっていいだろ? 急いでんだから、さっさと教えろよ」



早くしねーと、結衣 皿洗い終わっちゃうよ・・・



『・・・教えろ? それがヒトにモノを頼む態度なの?』

「・・・す〜み〜ま〜せ〜ん〜で〜し〜たぁ〜っ! さっさと教えてくださいっ!」

『分かればいいのよ』



かなりムカついたけど、「学ラン結衣」のために我慢する。



『中学卒業したときに、捨てたわよ?』

「―――・・・はっ?」

『だから、学ランでしょ? もう着ないと思って、捨てたの』



なんだってっ!?



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜バカッ! 勝手に捨てんなよっ!!」

『バ、バカ? ちょっと、陸・・・』



何か言いかける母親を無視して、通話を切ってやる。

なんだよ・・・ せっかく・・・

こんな、誕生日でもなきゃ、そんなリクエスト聞いてもらえねーと思って楽しみにしてたのに・・・



「り、陸〜〜〜? お皿、洗い終わったよ・・・?」



―――無情にも、結衣がオレを呼ぶ声が聞こえてきた。



頑張れ陸!

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