G 保健室で・・・!?


表彰式が終わり椅子を片付けたあとは、着替えて各クラスで軽くHRをして解散になる。
でも大体どのクラスもそのまま打ち上げに流れていくみたいで、ざわざわとみんな教室に残っていた。
あたしはB組に行って麻美のカバンや制服を持って保健室に向かおうとした。
「村上さん? どこ行くの?」
五十嵐くんが声をかけて来た。
「五十嵐くん。……保健室にいる麻美に荷物届けるの」
「そうなんだ。打ち上げタイム24だって」
「あ、じゃあ後から行くね」
とあたしは保健室に向かいかけて、「あ、五十嵐くんっ!」
「何?」
五十嵐くんが振り返る。
あたしは一緒に保健室に行ってもらおうかと誘いかけて、
「……ううん、やっぱりなんでもない」
と首を振った。五十嵐くんはちょっとだけ眉をひそめながら、じゃ先行ってるね、と言って教室に入って行った。
五十嵐くんを連れて行けば麻美が喜ぶと思ったんだけど…… 五十嵐くん、他に好きな人がいるんだもんね。麻美もそれ知ってるみたいだし。
余計なことして麻美を傷つけたりしたらイヤだもん。
あたしは一人で保健室に向かった。
また保健の先生はいなかった。
ベッドは窓際に3つ並んでいて、そのうち一番左のベッドがカーテンで仕切られていた。
そっと中を窺う。
麻美は眠っているみたいだった。胸にかけた布団が規則正しく微かに上下している。
顔を見たらまぶたがちょっとだけ赤くなっていて、目尻に涙の跡があった。
起こしたほうがいいかな? B組も打ち上げ行くって言ってたよね?
でも、眠ったばっかりだったらかわいそうかな……
とりあえずカバンと制服をベッドの足元の方に置いた。
そっとカーテンを閉めて壁の時計を見上げたとき保健室のドアが開いた。
「結衣?」
陸だった。「……寝てんの? あの人」
「うん」
あたしは唇に人差し指を当てて陸を手招きした。陸も少し声を潜める。
「怪我は大丈夫だって?」
「と思うよ。さっきちょっとだけど歩けてたし」
陸は、そっか、と言って空いているベッドに腰をかけた。
「陸のクラス打ち上げないの?」
「あるよ。タイム24」
「うそ!? あたしたちもそこで打ち上げだよ!」
陸はちょっと笑うと、
「あそこデケーからな。他にもあそこでやってるクラスありそーじゃん?」
「行かなくていいの? 陸今日大活躍だったから……主役がいないとダメじゃん」
と言いながら、ホントに凄かったよね、と改めて陸の活躍に感心する。
もうね、敵だったけど赤組でも凄かったんだから。泉さんやマリちゃんなんか凄くコーフンしてたし。
1年女子も騒いでたし。
明日から陸、また女子人気が上がっちゃうね……
「―――…」
「ん? 結衣?」
俯いてしまったあたしの顔を陸が覗き込む。「どーしたの?」
「なんかさ…… やっぱり陸と付き合ってるのがあたしなんかでいいのかなーって思って」
「は?」
「だって絶対今日の体育祭で陸に目をつけた子いっぱいいるよ。で、彼女いるのかなーって話になるでしょ? そのとき実は彼女があたしでした、なんてなったら……みんな笑うよね」
本当にみんなが勘違いした通り、麻美の方が似合ってるよね。……麻美はお断りって言いそうだけど。
あたしが俯いたままブツブツ言ってたら、陸が黙って立ち上がってベッドの仕切りのカーテンを閉めた。
「え… 陸?」
陸は黙ったままキスして来た。すぐに深いキスに変わる。「んっ」
そして……そのままあたしをベッドに押し倒した!
「やっ、ちょっと、陸?…ンッ」
陸は何度も向きを変えてあたしの唇を食んだ。そのたびに水気を含んだ音が響いてあたしは焦ってしまった。
ちょっと待ってっ!? 隣に麻美が寝てるっ!!
「ねぇっ! 陸っ!!」
唇が離れたときに小声で陸に抗議する。「隣りに―…っ」
「約束」
陸が耳元でささやく。「……破ったからお仕置き」
「え?」
「今度そんなこと言ったらキス以上のことするって言ったろ?」
「っ!!」
そ、そう言えば…っ
「結衣もちゃんと分かったって言った」
言った。言ったけど……っ
「ん…やんっ」
陸が首筋に唇を這わせる。「待って!」
「今日は待たない」
陸がベッドに乗ってくる。そのままあたしの上に馬乗りになった。
「だって、そんな急に……っ 色々準備とか…あ、んッ」
耳たぶを甘噛みしながら、手はあたしの脇腹あたりを撫でさする。
「大丈夫。ちゃんと持ってるから」
陸が耳に息を吹きかけてきた。それだけで肌がゾクゾクとあわ立つ。
「ち、違…っ そんな準備じゃなくて…んっ」
間近にある陸の首筋から太陽の匂いがした。「そ、そうだッ! あたし汗臭いからダメっ!!」
「そんなことないよ」
「そんなこと、あるっ!」
「そーかなー…」
と陸が一瞬考え込む顔つきになる。
あ、止めてくれる? ……と安心しかけたら、
「じゃ、汗臭いかどうか確かめてみるね?」
と陸は舌先でくすぐるように首筋を舐めた。
「ひゃっ …ンッ!」
陸はあたしと目を合わせ、
「大丈夫。しなかった」
と目を細めて笑った。「ついでだから首だけじゃなくて他のとこも確かめてみよ♪」
「な、何言ってんのっ! ……あっ」
首筋や耳の付け根を何度も口付けられる。陸は口付けながらあたしのネクタイを外した。
「ちょ、ちょっと待って!」
ビックリするぐらいの素早さで陸がシャツのボタンを外す。「いやっ!」
あたしは慌てて身体を捻って両腕で胸を隠すようにした。
「今さら…… この前はナマで見ちゃってるのに」
と言って陸はブラの肩ひもを腕の方に落とした。
「だってだって…… や、やっぱり恥ずかしいよ…」
何とか待ってもらえないかとパニクる頭で考えていると、
「あ!」
と陸が何かを見つけたような声を出した。
「な、なに?」
「消えてる… オレのモノってシルシ付けといたのに」
もっとたくさん付けとこ、と言って陸があたしの胸に唇を落とした。
「やっ、やんッ!」
陸が左右の胸の間辺りを何度もきつく吸い上げる。
頭に霞がかかってきたようになり、身体に力が入らなくなってきた。
ブラの上から胸を触られた。
「―――ンッ! あんっ」
たまらずあたしが背を反らせると、陸がその隙間に手を入れブラのホックを外した。やっぱり素早い動きでブラを剥ぎ取られる。
「もうっ、やだぁ…んッ」
陸が唇を合わせてくる。すぐに唇を割ってあたしの舌を絡め取ってくる。
「…う……んんっ」
陸はキスしながら自分のネクタイを外しシャツのボタンも外した。
やっ やだやだやだっ!
待って!? ホントに…… ホントにしちゃうのっ!?
あたしが必死になって陸を押しのけようとしていると、陸はちょっとだけ唇を離して、
「……そうやって抵抗されると、余計に煽られるの。知らなかった?」
し、知らないよっ! っていうか抵抗しちゃうでしょっ!
陸があたしの顎から首筋にかけて舌先を這わせて行く。
「り、陸…」
「ずっとこうしたかった……」
一旦唇を離してあたしと目を合わせる。「気が狂いそうになるぐらい、したかった」
「あ…あん」
陸がゆっくりとあたしの胸に手をあて優しく揉みほぐす。
もうとっくに硬くなってしまっている胸の先端が、陸の手の平にあたって余計に硬くなる。
「や…ん …んっ! あ…」
身体の奥が溶け出しそうな感覚が襲ってくる。
「……かわいい、結衣」
陸はちょっとだけ笑ってそれを口に含んだ。
「ひゃっだめ……っ あんっ!」
この前、シャツの上から同じ事をされた時とは比較にならない感覚が身体中を走る。
大きな陸の手、長い指。生暖かい陸の唇。
ちょっとだけざらついた舌……
あたしに触れる陸の全てがあたしの意識をどこかに持って行きそうな…そんな感覚に襲われる。
鎖骨のあたりにときどき触れる、やわらかい陸の前髪でさえも……
「…い、いやっ、ん! あ…あっん―――ッ!?」
陸の手があたしの口をふさいだ。一旦全ての動きが止まる。
「結衣…… 声大きい」
と言って隣りのベッドの方を顎で指し示す。
そ、そうだっ! 隣に麻美が寝てるんだったっ!!
「や、やっぱり止めようよっ! こんなとこでダメだよ」
小声で陸に抗議する。
「ダメ?」
陸がちょっとだけ身体を離してあたしを見下ろす。
「そ、そう!ダメっ! 止めなさいっ! 先輩の命令よっ!?」
陸はわざとらしく眉を下げると、
「でもセンパイ… ボクここからどうやって引き返していいか分かんないよ。センパイ教えてよ……」
だ、誰が、ボク、よっ!?
陸が再び胸の先端に唇を落とす。
「あ―――…ンッ!?」
あたしが声を出す前にまた口をふさがれた。
軽く歯を立てられる。わざと音を立てて舐め上げてくる。
「…ンッ」
肩が強張って思わず背中が反ってしまう。
「……なんだ。やっぱりセンパイもしたいんじゃん」
陸は口の端をちょっとだけ上げて笑うと、チラリと上目遣いにあたしを見た。「ほら。こうやって胸突き出してるし」
反対側の胸の先をキュッと摘まれた。
「ンンッ―――…ンッ!」
陸に口を押さえられているから声は出せないんだけど、そうでなくても隣りにいる麻美のことを気にして声が出るのをガマンしていたら……余計に身体が熱くなってしまった。
も、ホントに、ダメ―――… 頭が溶け出しそう……
思わず膝をこすり合わせようとしたら、その膝に陸が手をかけた。
「感じちゃってる?」
か、感じてなんか、ないっ!
陸に口を押さえられたまま首を左右に振った。
「ホントかな〜」
膝にかけていた陸の手が太ももの方に上がってくる。「確かめちゃおっ♪」
やだっ!
ダメダメダメダメ――――――ッ!!
固く膝を閉じる。
「……力抜いて?」
あたしは大きく首を振った。
「じゃ、見るだけだから」
ちょっとっ!?
「見るだけ。ホントに。何もしないよ。約束する!」
前にもそー言ったけど破ろうとしたよねっ!? 絶対信じないっ!
っていうか見られるのだって恥ずかしいからっ!! 絶対ダメっ!!
「ダメなの?」
あたしは大きく肯いた。
「そっかー… じゃ、しょうがないな〜」
陸はあたしの上でちょっとだけ考え込んで、「強行手段に出るしかないか……」
き、強行手段ってなにっ!?
「結衣? ちょっとだけ手離すけど声出さないでね?」
あたしは肯きながら、
出してやる、絶対出してやる―――
と考えていた。
「……もし出したら、誰か来る前にもっと恥ずかしい格好にしちゃうからね」
と言って陸はゆっくりあたしの口から手を離した。「それでもいいならいいよ。声出しても」
あたしは息を吸い込んだ。……けれど、声が出せなかった。
だって……もっと恥ずかしい格好ってどんなの?
それに、もしあたしが悲鳴を上げて誰かが来てこの状況を見たら…… 陸、どうなっちゃうの?
「―――…いい子だ」
陸はあたしと目を合わせながら、「大丈夫。すぐに気持ちよくなるから……」
と身体をずらしてあたしの膝を立てさせた。スカートが足の付け根辺りまで滑り落ちてくる。
「結衣…大好きだよ……」
と言って陸があたしの膝を割ろうとしたとき、
「小池センセ―――っ!」
勢い良く保健室の扉を開けて誰かが入ってきた。「小池セン…… あれ? いないのかな?」
こ、この大声は……
「―――くそっ。またあいつかよ」
あたしの足元の方で陸が舌打ちした。
保健室に入ってきたのは…どうやらまた川北先生らしかった。
「せっかく食事に誘おうと思ったのに…… どこ行っちゃったんだろ?」
と川北先生は保健室の入り口のところでブツブツ言っている。「仕方ない、ちょっと待ってみるか」
えっ!?
焦って陸の方を見たら陸は額に手を当ててため息をついていた。
川北先生が、よいしょ、と言って椅子に座る気配がする。
「……ん? 誰か寝てるのか?」
ドキ―――ッ!!
ちょ…… この前より完全にまずい状況だよ!! ど、どうしよう!!
あたしが焦っていると、陸が素早く服を着てあたしに布団をかぶせた。そしてそのままカーテンを開けようと手をかけたとき、
「先生……」
と隣りのベッドのカーテンが勢い良く開けられる音がした。「あんまり大声出さないでもらえます?」
麻美だった!
「なんだ? こんな時間まで寝てたのか?」
「はい。あたし騎馬戦で怪我して……それで貧血も起こしちゃったみたいで寝てたんです」
「もうすぐ5時になるぞ? さっさと帰りなさい」
「はい」
あたしと陸が麻美と川北先生のやり取りを息を殺して窺ってると、
「ん? ……そっちのベッドにも誰か寝てるのか?」
と川北先生が今度はあたしたちのベッドの方を気にした。「ほらほら起きろ〜」
川北先生のサンダルの音が近づいてくる!
ど、どうしようっ!
「先生っ!」
また麻美が川北先生を呼び止める。
「なんだ?」
「その子、今寝たばかりですから。すごく調子悪そうだったし」
「でももうすぐ5時だしな〜」
と渋る先生に麻美は、
「じゃ、あたしが起こしておきますから」
と言って、「それより先生。あたしまだ体操服のままなんで着替えたいんですけど?」
「おっおお… そうか、そりゃ悪かったな。……じゃ、また出直すか」
川北先生はそう言ってやっと保健室を出て行った。
カーテンの外では麻美が身支度を調えている音がする。
あたしはベッドの上で頭を抱えた。
今の麻美の川北先生とのやり取りって…… 完全にあたしたちへのフォローだよね?
―――ってことは…… 気付いてた?
間もなく支度を整え終わったらしい麻美が、保健室のドアを開ける音がした。
軽く咳払いをした後、
「ちょっと……」
と麻美の声が飛んでくる。「……あんたたちもいい加減にして帰りなさいよ」
や、やっぱりバレてた――――――ッ!!
麻美はそれだけ言うとさっさと保健室を出て行った。
あたしは恥ずかしさに顔を熱くしながら慌てて服を着ると、ベッドから飛び降りた。
「なんでいっつもあいつが出てくんのかね? 川北…だっけ? 腹立つ…」
陸はネクタイをポケットに丸めながらブツブツ言っている。
あたしは陸の背中を叩いて、
「もうっ! こんなところでしようとする方が悪いっ!」
と陸を睨んだ。
もう…… どうするのよ。麻美に聞かれちゃって……
これからどんな顔して会えばいいのか…… 恥ずかしすぎる!!
学校を出て駅への道を歩く。打ち上げ会場のカラオケボックスは駅前にあった。
「……じゃあ、いつどこでならいいの?」
陸が口を尖らせながら言う。「今決めて」
「いつって……そんなの分かんないよ」
「今決められないなら、今する!」
と言って陸はあたしの手をつかんだ。「今からオレんち行こ!」
「わ、わわ、分かった! 今決めるからっ!」
陸の勢いに押されて首を縦に振る。
―――…って言っても、いつ?
そんなの決められないよ…… 考えただけで顔が熱くなってくる。
あたしが俯いて考えていると、
「7月7日!」
と陸が言った。「……オレの誕生日」
「え? そーなんだ? 七夕生まれなの?」
へぇ、知らなかった。
付き合って2ヶ月近くたつのに誕生日も知らなかったなんて……
そーいえば、陸はあたしの誕生日は知ってるのかな?
教えたほうがいい? ……でも誕生日を自分から教えるのってプレゼントとか催促してるみたいで恥ずかしいな……
なんて考えていたら、陸が、
「その日に結衣をちょーだい」
「え… ええっ!?」
「あと1ヶ月あるしさ。結衣が言う準備ってのも出来るでしょ?」
そ、そんな…… 1ヶ月なんてあっという間だよ……
「はい決まりっ!」
陸が嬉しそうにそう言ったときちょうどカラオケボックスに着いた。
「それまではまた、想像の中で結衣にご奉仕してもらおっ♪」
「絶対止めて!」
「じゃ、他の子のこと考えてした方がいいの?」
う……っ それはもっとイヤ……
あたしたちがドアを開けて店内に入ると、フロントのところに五十嵐くんが立っていた。
五十嵐くんはフロント前の自販機で缶コーヒーを買うところだった。
「……村上さん。遅かったね」
とあたしと陸の顔を交互に見る。「何してたの」
「え? あ、何って……」
あたしがオドオドしていると、
「オレたちがナニしよーとセンパイにはカンケーないっすよね?」
と陸が横から答えた。
「……」
五十嵐くんが黙って陸を睨む。
なんかこの2人も気が合わないみたいでいつも険悪な雰囲気なんだよね……
「り、陸のクラスは何階?」
さっさと2人別れさせようとエレベーターのボタンを押したら、
「あ! 今日はよくも余計なことしてくれたわねっ!」
下ってきたエレベーターの扉が開いて中から麻美が降りてきた。
麻美のクラスもここで打ち上げだったの?
「うるせぇ! 運んでやったんだから感謝しろよ!」
「だから頼んでないって言ってるでしょっ!」
麻美はすっかりいつもの調子に戻って、「しかもあんたが借り物競争で失格にならなければ、青が優勝だったっていうじゃないっ! 何やってんのよ!」
「あんたはオレの最後の活躍見てなかったのかっ!? リレーで凄かったんだからな!?」
「いくらリレーで1位取ったとしても、結局は優勝できなかったしね〜」
「それが全部オレのせいかよっ?」
「……村上さん行こ。A組は4階だから」
五十嵐くんは2人のやり取りを見て呆れている。
「う、うん…」
あたしと五十嵐くんがエレベーターに乗ろうとすると、
「あ、ちょっと待て! 勝手に結衣を連れてくな! こっちの話が終わってねーだろっ!?」
「商業科と話すことは何もない」
「学科で差別しやがったなっ!?」
「悪いか?」
「ちょ、ちょっと! 3人とも止めようよ〜!」
揉めている3人を前にあたしが焦っていると、
「あの……お客様? 他のお客様のご迷惑にもなりますんでケンカなら外でやってもらえますか?」
と目の前のフロントから注意されてしまった。

なんでいつもこーなっちゃうの〜っ!?

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