ひとつ屋根の下   第6話  believe in@

「パパ、法子さん、大事な話があるの」
「? どうした、ナナ」
いろいろあった夏休みも終わり、今日から2学期っていう日の朝食の席。
一大決心をしてそう切り出したら、パパと法子さんは不思議そうな顔をしてあたしを振り返った。
目の前に座っている伊吹も、コップに口をつけたままあたしに視線を向けている。
「あたし……」
3人の顔を順番に見渡し、それから思い切って……
「あたし、伊吹のこと好きになったから!!」
と告白した。
「「えぇっ!?」」
「ッ!?」
あたしの告白に、パパと法子さんは目を見開いて驚き、伊吹は飲んでいた牛乳を吹き出した。


あたしの名前は倉本ナナ。地元の公立高校に通う普通の高校2年生。
お母さんはあたしが幼い頃に死んじゃって、これまで10年以上ずっとパパと2人きりの生活を送っていた。
これからもずっと2人きりの生活が続くんだろうと思ってんだけど、半年前に急にパパが再婚することになった。
はじめは戸惑ったし反対もしたんだけど、結局は賛成してあげたんだよね。再婚相手の法子さんも気さくで優しくていい人だって分かったし。
ただ……法子さんには息子がいた。
しかもその息子っていうのが、なんとあたしと同じ高校の同級生の椎名伊吹だった。
それを知ったときの驚きっていったらなかった。
だって伊吹は学校内じゃちょっとしたアイドル並みの人気だったから。
見た目は男にしておくのがもったいないくらい華奢で可愛いし、運動もそこそここなせるし、特進クラスの1組にいるくらい頭もいい上に、人当たりも 良くて先生や生徒のウケもいい。
あたしもはじめは、
「あの伊吹くんとひとつ屋根の下―――!」
って喜んでたんだけど、すぐにそんな浮ついた気持ちはなくなった。
それは伊吹が学校内とあたしの前とじゃ全然違う、二重人格者だったから。
横暴だし自分勝手だしオレ様だし……なんでこんなヤツが家族になっちゃったんだろ。
もうヤダッ! 伊吹なんかどっか行っちゃえ!!
……ってずっと思ってたんだけど。

―――なんであたし、伊吹のこと好きになっちゃったんだろ……
こんな複雑で面倒くさいヤツ好きになったって、つらい思いするだけのに……

あたしが好きになった伊吹は、過去にあったつらい出来事のせいで、自分のことが嫌いだ。
この家にとって……法子さんにとって邪魔な存在だと(勝手に)思い込んでいる。
だから、
「早く自立したいんだ」
なんてことを言って、この家を出て行こうとしている。
ダメッ!
そんなこと絶対させないッ!!
自分を嫌いなまま、邪魔な存在だと思い込んだまま、この家を出て行かせなんかしない!!
誰が伊吹を嫌っても。
伊吹自身が伊吹を嫌っても。
あたしだけは絶対好きでいるって決めたんだから!
たとえ伊吹にウザがられても……ううん、たとえ嫌われたとしても、これからは伊吹のそばで伊吹を幸せにするって、そう決めたの!!
そうと決めたら、さっそく行動に移さなくちゃだよね。
伊吹はアルバイトしててお金貯めてるから、いつこの家出てっちゃうか分かんないし……
でも……いつどうやって伊吹にアプローチしよう?
学校では特進クラスの伊吹と会う機会なんてほとんどない。
仮に会えたとしても、みんなの前でスキだキライだなんて話、絶対出来ない。
なにより、あたしたちの関係を知られたくない伊吹から、
「学校では絶対話し掛けてくんなよ」
って言われてるし……
となると、家でってことになるんだけど……問題はパパと法子さんだ。
2人はあたしたちがこんな微妙な関係になっているとは思っていない(……って、勝手にあたしが片想いしてるだけだけど)。
それどころか、険悪なムードになっているところや言い争っているところしか知らないに決まってる。
それなのにいきなり、
「ねぇねぇ、伊吹〜♪」
なんてやりだしたら絶対驚く。
隠れてコソコソするのもなんかイヤだし、あたしの性格からしてすぐにバレそうだし……だったらはじめから正々堂々と宣言しちゃった方がいい。
パパだって法子さんのこと好きになったとき、あたしに報告してくれたしね。
そう思って今朝の大告白になったんだけど、やっぱり伊吹はお気に召さなかったみたいだ。

「……おまえ、どーゆーつもりだよ」
パパと法子さんが仕事に出かけて行ったあと、早速伊吹に睨まれた。
「え、どーゆーつもりって…… 正直に話しただけだけど。あたしの気持ちを」
あたしはお皿を洗いながら、伊吹と視線を合わせないようにしてもごもごと言い訳をした。
あんな告白を家族が揃った朝食の席でしたら、絶対伊吹に怒られるだろうと思ってはいたけど……
でも、そうするしかなかったんだから仕方ないじゃん!
「お前ふざけんなよ! オレがフォローしなかったらどうなってたと思うんだよ! 朝っぱらからビミョーな空気にしやがって!」
伊吹が忌々しそうにあたしを見下ろす。
実はあの告白、伊吹のフォローのせいで、うやむやというかなんというか……冗談だったことにされている。
伊吹は、あたしの告白に絶句している2人に向かって、
「〜〜〜ッはい! ドッキリ大成功―――!」
と派手に手を叩いてみせた。
「ド、ドッキリ……?」
「そうっ、ドッキリ!」
訝しげに首を傾げるパパに、伊吹は零れんばかりの笑顔を作って、
「いや、実は昨日ちょっとゲームをしてたんですけど、それにナナが負けて……で、なんか罰ゲームしろよって話になって……で、2人を本気で驚かそうってことになって……」
と慌てて説明をした。
「……それが今の?」
「そう!」
伊吹が何度も首を縦に振る。「冗談なんですよ! 驚きました?」
伊吹のセリフにパパや法子さんはしばらく眉を寄せたあと、
「……驚いたよ」
「……私も」
と息を吐き出した。
ちょっと!
一大決心して勇気を振り絞ったあたしの告白を、なに勝手に冗談にしてんのよ!
罰ゲームってなにっ!?
そう反論してやろうとも思ったんだけど、伊吹の今までに見たことないような鋭い睨みに制されて、仕方なく大人しくしていた。
「……べつに、フォローなんて頼んでないんですけど」
お皿を洗いながら口を尖らせたら、伊吹は声を荒くした。
「バカッ! お前のフォローじゃなくて自分のフォローしたんだよっ!」
「え?」
「え、じゃねーよ! てめーの親父の顔見たかよ!? すげー眉間にしわ寄ってたぞ! しかもそのあと、オレの顔見てさらにしわ深くして……これ以上オレを邪魔者にすんなよっ!!」
「じゃ、邪魔者って……そんなことパパが思うわけないじゃん!」
伊吹のセリフに思わず反論したら、伊吹はさらに声を高くした。
「思うだろっ! てめーの愛娘に手ぇ出す男は、父親にとってみんな邪魔者なんだよ!」
「え…… 伊吹、あたしに手出すつもりなんだ?」
伊吹のセリフにちょっと嬉しくなってそんなことを言ったら、
「誰が出すかッ! こんなバカにっ!!」
と怒鳴られた。思わず首をすくめる。
伊吹は忌々しそうに何度も舌打ちをしたり、大げさに溜息をついたりしている。
伊吹が本気で怒っているのが分かったから、あたしも黙ってお皿洗いを続けた。
―――伊吹にどう思われたっていい。
嫌われたってウザがられたって、そばにいる……好きでいるってそう決めた。
決めたけど……こうあからさまに嫌悪感をしめされると……やっぱりちょっと落ち込む。
あたしがしゅんとした気持ちでお皿を洗っていたら、伊吹が小さく息を吐き出した。そして、さっきよりは少し落ち着いた声で、
「あーあ。お前にあんな話するんじゃなかった」
と言いながらチラリとあたしを見た。「……お前のそれ、勘違いだから」
「勘違い?」
意味が分からず聞き返した。伊吹は肯きながら、
「お前はオレの過去の話を聞いて、オレのことを可哀想に思ってるだけ。あんときの雰囲気に流されて、同情を恋愛感情と勘違いしているだけなんだよ」
と言い捨てた。
「……なにそれ。あたしがウソついてるって言うの?」
「ウソじゃない。勘違いだっつってるだろ。お前の勝手な思い込み!」
と肩をすくめる伊吹。
「同じだよっ! あたしの言うこと信じてくれてないってことじゃんっ!! あたしホントに……ホントに伊吹が好きなんだよっ!?」
伊吹、あたしの気持ち全然分かってなかったの!?
同情なんかじゃない!
ホントに伊吹が好きなのに……っ
「信じてよっ!!」
と必死に訴えたら、伊吹は微かに目を細めてあたしを見たあと、
「……だとしても、オレがお前を好きになることは絶対にない。時間の無駄だし、傷つくだけだから、やめろ」
と、ふいっと視線をそらした。
……なによっ!
絶対好きになることはないとか、時間の無駄だとか……そんなのあたしが1番よく分かってるよっ!
それでもどうしようもないってのが人間の感情じゃん!
なんでそれを分かってくれないのっ!?
「ふ、ふーん、あっそ!」
泣きそうになるのを必死に堪えた。「まだ好きなんだ? 法子さんのこと」
「ッ!!」
伊吹が怖い目つきであたしを振り返る。
しまった…と思ったけど、今さらもう引っ込みがつかなかった。
ここで黙ったら、言葉の代わりに別な何かが飛び出してきそうだった。
「だ、だからさっき法子さんの前であんなこと言われて……だから怒ったんでしょ!? あたしの気持ちは否定しといて、自分はいつまでも法子さんのこと想い続けるんだ? 勝手だよねー…ひゃっ!」
ドン、という大きな音を立てて、目の前のカウンターを伊吹が拳で叩いた。
その音の大きさに思わず首を竦める。
「……二度とその話はするな」
低いけれどお腹の底から響いてくるような怖い声だった。「今度同じ話をしたら……オレは即刻この家を出て行く」
伊吹はそう言い捨てると、カバンを担いで家を出て行ってしまった。
シンとした静けさが家に戻ってくる。……と同時に、我慢していた涙がこみ上げてきた。
だって……だって伊吹が悪いんじゃん!
なんで信じてくれないのよっ!
本当に好きなのに! 本気で伊吹が好きなのに!!
伊吹が法子さんをずっと想っているように、あたしも伊吹を想っているだけなのにっ!
時間の無駄ってなに!?
傷付くだけってなに!?
あたしの何倍も時間を無駄にして、何十倍も傷付いてるのは伊吹の方じゃん!
それでよくあんなふうに言えるよね!
やっぱりあんたはご主人様だよ! ヒドい暴君だよ!
自分勝手なご主人様は奴隷が同じ気持ちになることがあるなんて思わないんだよねっ!
いいよ、もう勝手にするからっ!
伊吹が勝手にあたしの気持ちを勘違いだと決め付けるなら、こっちだって勝手にさせてもらうから!
勝手に伊吹のこと好きでいるから!!
こみ上げてきた涙を抑えるために、お腹の中で伊吹に悪態をついた。
ついた直後、
―――やっぱり言いすぎだったかな……
と後悔の念が押し寄せてくる。
気持ちを否定されたことに対しての反論はいいとして、そのあとの、
「まだ好きなんだ? 法子さんのこと」
は……やっぱり言っちゃいけなかった、と思う。
本当に今でも伊吹が法子さんを好きなのかどうかは分からない。
仮にまだ好きだったとしても、法子さんはもうパパの奥さんなんだから、どう足掻いたって伊吹にチャンスはない。
ううん、チャンスはないどころか、その気持ちさえも隠し通さなければならない。
どんなに好きでも、その気持ちに押しつぶされそうになったとしても、どこにも吐き出すことは出来ない。
……伊吹は、あたしなんかよりずっとずっとつらい思いをしてるに違いない。
そんな伊吹に、あたしはなんてことを言っちゃったんだろう……
「あー、もうっ!!」
激しく後悔したけど、今さらもう遅い。
―――こんなんじゃ伊吹に好きになってもらおうなんて、夢のまた夢だよ……

「あー、ナナやっと来たぁ! 数学のワーク写さして!」
落ち込んだまま登校したら、教室に入った途端に里香に声をかけられた。
「ん……」
「ありがとー!」
里香は笑顔でワークを受け取ると、「リーダーの訳はなんとか頑張ってやったんだけどさ。数学まで手が回んなかった!」
と言いながらさっさと写し始めた。
「っていうか、なんでこんなに宿題多いんだろー」
写しながら里香はブツブツ文句を言っている。
「うん……」
「たったの40日でこんな量こなせるわけないじゃん!」
「うん……」
「あたしなんか8月の頭まで課外受けてたから、実質1ヶ月弱しか自由な時間なかったし!」
「うん……」
「高2だよ!? 17の夏だよ!? それを課外と宿題で潰すとか……ありえないっつーのっ!!」
「うん……」
「……ナナ?」
「うん……」
里香の話に相槌を打っていたら、ふいに里香があたしの顔を覗き込んだ。
「どしたの?」
「……え」
「ナナ、さっきから、ウンしか言ってないよ?」
「え、そう?」
「うん」
いつの間に写し終ったのか、里香はワークを閉じると、
「さーてはまた例のカレシとなんかあったんだ?」
とニヤリと笑った。「もうナナってば分かりやすいんだから!」
「カ、カレシじゃないって!!」
里香のセリフを慌てて否定する。
「あ、まだ付き合ってないんだっけ。でも、告ったんだよね?」
夏休み中、何度か会った里香には伊吹とのことを話している。
……といっても、もちろん名前は出せないし、伊吹のつらい過去のことも話していない。
ただ告白して……あたしの気持ちを伝えたってことだけ聞いてもらった。
「でもフラれたわけじゃないじゃん! 告ったときイイ雰囲気にもなったんでしょ? だったら望みあるよ!」
たしかに、
「誰が伊吹のことを嫌っても、あたしだけは好きでいるから!」
って言ったときは、
「つまんないこと言うな」
って言われただけで、フラれはしなかった。
しかも、思わず泣いちゃったあたしの涙を拭くために胸を貸してくれたりして……
あとから思うと嬉しくなって、思わず里香に言っちゃったんだよね。
でも……
「望みは……ないと思う。今朝もはっきり、あたしのことは好きにならないって言われたし」
今朝の言い争いを思い出し、溜息が漏れる。
なんでいつもあーなっちゃうんだろ……
ただ、伊吹が好きって伝えたいだけなのに……
「え、今朝も告ったんだ?」
あたしの話に里香が眉をひそめる。「……ていうか、ナナたちってどういう関係?」
「え?」
予想外の里香の切り返しに、思わず聞き返す。
里香は微かに眉を寄せながら、
「なんかさぁ、話聞いてるとまるで一緒に住んでるみたいなカンジじゃん。前に話してた奴隷? パシリ? 的なことも、肩揉みとか皿洗いとか……外ですることじゃないよね?」
「え、あ……いや」
「今朝だって、今まだ8時過ぎだよ? その彼にいつ告ったわけ? 登校中? 一緒に来たの?」
「いや、その……っ」
「どーゆー関係?」
「〜〜〜ッ」
……自分の迂闊さを呪った。
なんであたし何も考えないで里香にしゃべっちゃったんだろ!?
伊吹と一緒に住んでるなんてことがバレたら、それこそとんでもないことになってしまう。
みんなに好かれている伊吹が、こんな平凡な女子とひとつ屋根の下に暮らしていることがバレたら……ッ!
男子からは笑われ、女子からは相当な恨みを買うに違いない。
目の前にいる里香だって伊吹のことを、
「あー、もう伊吹くんかっこいい! なんとか話できるチャンスないかなぁ」
なんて言ってたことがあるくらいだ。
今は親身に恋愛相談にのってくれているけど、相手が伊吹だと知ったらどうなるか……
想像するだけで恐ろしい。
「や、あのねっ、里香っ! えーっと……ッ」
あたしが必死に言い訳を考えていたら、
「……やっぱマッキーなんでしょ?」
と里香が声を潜めた。
「え?」
「ナナの好きな人。マッキーなんでしょ!」
「は……? て、徹平!?」
驚いて声が裏返ってしまった。

マッキーっていうのはあたしんちの隣に住んでる幼なじみの同級生。
槇原徹平……で、みんなからはマッキーって呼ばれてる。
親しい子たちはみんな、あたしと徹平が隣同士に住む幼なじみだということを知っている。もちろん里香も。
「だったら納得いくわぁ! マッキーだったらしょっちゅうお互いの家行き来してるだろうし、登校だって毎日一緒だしね! そういえば、夏休みの課外も受けてたし!」
里香が満足そうに肯く。
「ちょっ!? いや、徹平じゃないからっ!」
大慌てで否定する。
「もう隠さなくていいって! 誰にも言わないから!」
「いやホントに!」
「じゃ、誰なの?」
徹平のことを否定したら、また追及された。
「ナナの好きな人って誰なの?」
「え……」
「マッキーじゃないなら誰? まるで一緒に住んでいるかのように身近で、夏休みにわざわざナナを学校にまで来させた課外を受けてた子って誰なのよっ!? えぇ?」
里香が凄む。「ここまでバレてんのに、まだしらばっくれるってか!?」
「里香、怖いよ〜」
と泣くマネをしても、
「ナナがいつまでもしらばっくれるから! 往生際が悪いよ!」
と里香は許してくれない。
「う〜〜〜…」
どうしよう……正直に話す?
でも、伊吹の名前出したあとの反応が怖いし……
でもでも、里香にはいろいろ相談にのってもらってるし、そんな里香にウソつくのも心苦しいし……
あ〜〜〜どうしよっ!!
あたしはしばらく唸ったあと、
「……ごめん、実は、そう」
と肯いた。
ごめん、里香!
里香が親身になってくれてるのは分かるけど、どうしても伊吹のことは話せないし……っ
徹平も! ごめん、ちょっとだけ名前借りるねっ!
「んも〜〜〜、やっと白状したぁ!」
里香は笑顔であたしのおでこを突付いてきた。
「ごめん……」
「もっと早くに言ってくれればいろいろ協力してあげたのにぃ!」
「いやっ! そんなことはしてくれなくていいからっ! っていうかしないでっ!?」
里香のセリフを慌てて否定した。
「えー、なんで? マッキーただテレてるだけだと思うよ? だってマッキーあきらかにナナのこと好きじゃん。 見てて分かるもん!」
いや、それはそうかもしれないけどっ! 夏休み前に告られたし!
「そっかそっか〜、やっぱりマッキーをねぇ」
あたしの胸中を知らない里香は、1人満足気に肯いている。
「ちょ……里香? 本当に余計なことしないでね?」
「ウン♪ しないしない♪」
「ホントに……約束だよ?」
「大丈夫だよー、任せて!」
里香の笑顔に一抹の不安がよぎった……

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